LIFE

忘年会、新年会とここから飲む機会がやたら多いわけなんやけど
招かれるぶんには気楽なもんさね。
年末に一件、二月に一件と幹事やらなあかんのがあって
年末のは女のひとばかりを仕切るんやけど
これはまあ、立場的に楽っちゃあ楽なわけで二月のが大変。
遠方からの大人数を宿泊から宴会、二次会までの手配。
なんや「舞妓、舞妓」言うて期待しとるし酒癖悪い輩どもやからね。
猛獣使いな調教師気分。


酒を飲む。
日本酒以外なら何でも有り。
日本酒も飲めへんことはないんやけど
ずっと昔、大量摂取して吐きまくって記憶が飛んで翌日二日酔いに悩まされて以来
トラウマがごとく飲むことを避けている。
その他は平気。というか好き。
でもね。
昔から量的にも飲むには飲んだけど所謂“酒の良さ”みたいなのを理解はしてなかったように思う。
「酒が飲みたい」という衝動に駆られるんではなくて付き合いやら喉の渇きやら
そんな理由だけで飲んでたな。


父親は酒飲みやった。
自営をしてた頃は煽るように飲んでた。
幼少時に憶えてる酒臭い息。
酒焼けとか出来てたもんね。
店をたたみ勤めに出るようになって母親に制限されてたのもあったやろうけど
晩酌も適量となり酒焼けもすっかり消えてた。
でもこんなことを人から聞いたりした。
その勤務先での慰安旅行か何かでの宴会でかなり飲んだのか
衆目の前で動物の真似事みたいなのを披露してたと
そこに居合わせたバイトの子が偶然にも後々自分の会社にバイトに来て
苗字の一致から親子であることが分かり
そう話してくれた。
うん、恥ずかしいというより哀しくてね、何か。
胸が詰まって何とも言えない気分やった。
そんな事が脳裏にインプットされているのか
営業職でありながら、どんなに大量に飲んでも
努めて冷静に飲む酒になってしまった。
飲めば飲むほど冷静に客観視して
前後不覚な振る舞いはしない。
とは言え
年齢と共に飲みたくなる衝動は増し
ここぞとばかりに飲む。
浮遊感の中、冷静に周りを見渡しながら
心では全然違うプライベートなことなんかを考えている。
酔うほどに色んなことが頭に巡り
無性に声が聞きたくなったりする。
気が大きくなってるのか躊躇もせず
トイレに立つふりで電話を掛けてしまう。
明らかに酔っ払ってる風情で取り合ってもらえずとも
声が聞けただけで静まりいく心。
何故だか涙が零れる。
誰かが見たら無様な姿だ。
それはあの日の父親の姿。
うん、今となってはわかるよ。
きっと前後不覚に酔っ払って披露した芸当やなかったんやね。
どこか冷静な頭で演じててんな。
そして泣いてたんであろうことも。


酒を飲む。
父親に会える時間。
“生きる”ために
“生きる”こと教えてくれる。





[ CINEMA ] 亀は意外と速く泳ぐ


何やろ、面白いねんけどなー、何か物足りない。
「転々」同様、小ネタ満載で飽きさせず観れるんやけど
“映画”としてどうなんやろ?
うん、ちょっと考えオチ狙うようなコントの繋ぎ合わせ。
ううん、色モノを馬鹿にしてるわけやないよ。
“映画”として脈絡が無さ過ぎというか
もう少し伏線張るなら張るで、しっかりとしたプロット組んで
納得行く結末に結び付ける。
小ネタがそれらの装飾となる時
面白い“映画”として成立するように思う。
比較するべきではないと思うけど同じような土壌を基礎とする三谷作品との違いを感ずる。


上野樹里はよかったよ。
むしろ、上野樹里のための作品かも。
淡々として、のほほんとした面白いキャラを創り出せるよね。
「スィング〜」「のだめ〜」と同一線上にある演技。
ええんやけど期間限定やろうからなー、そういう演技で応えられるのは。
私的にドラマ「ラストフレンズ」の上野樹里の演技が好きやった。
まあ、ドラマ自体、ドロドロさ加減が面白くハマる筋立てやったけど
こういうキャラも演じれるというか
性同一性障害という難しい役の揺れる狭間をうまく演じていたように思う。
うん、観てて何か格好良くて、同時に可愛くて
瑛太演じる“水島タケル”に感情移入してたもん(アフォ)。
いやーおもろいドラマやったわー
…って映画の話とちゃうようになってるやん。
それもこれもあれや。
この作品いうか三木監督が蒼井優ちゃんを活かしきれてへん事に
何か上野樹里ばっかに加担して
蒼井優ちゃんもおもろい役柄やのにフィーチャリングせずして
大体、アングルも何か優ちゃんをよく識別できんようなアングル撮りで非常に遺憾に思ったんよ。
それがあかんねん。
それが不満やねん。
それが物足らんねんっ!! (結局ソコかいな)。