夏の終わり

やがて日が沈む
静かだ
耳の奥底の方に
打ち寄せ引く
波の音が響く

空を見上げる
呟きかけた言葉呑み込み
足許を見る
砂まみれのシューズ
振り返り足跡を眺め
しゃがみ込む

俯く其処に散らばる
無数の貝殻
欠けた一つを拾い上げ
投げ捨てる

立ち上がり
爪先で払い腰を屈め
夢中に探す
中腰のまま
辺りを見渡し
夢中で探す

「ほら見て。きれいなのこんなに」

差し出す手のひら
そこにもう君はいない